案外知られてないけど、一帯の停電を引き起こしかねないビルは、あらゆるところにあります。
本当、自分もこの「変電設備」。キュービクルに関しては、本当に理解しがたくて、何度も保安を委託している会社の人間を呼んで、色々と勉強させていただきました。
テナントビルとか、まぁ、事務所仕様のビルは、大概、高圧施設として屋上にキュービクルなるものを置いてございますが、簡単に言うと、
一般家庭は、電柱から「低圧」契約で、1本1本電力会社から電気を購入しているのですが、100ボルトとかいう感じで。
こういうある程度のビルは、それこそ6000ボルトとかいう話で、大量の電力を供給してもらう感じです。これを「変電」して、200ボルトとか100ボルトにして各店舗とか事務所に供給していくシステムで、
実は、ビル側は、電力会社から電気を購入して、各テナントに電気を「小売り」している。事実として、ちょっと高目で「売っている」ビルオーナーもいるのです。
それでも低圧で、電力会社から購入するよりははるかに安い。
電柱を見上げれば、灰色をしたドラム缶みたいなトランスなるものが乗っているけど、これが電力会社からきた「高圧」の電気を「低圧」にして、各家庭で使いやすい電気にして供給しているのだが、
キュービクルにはこれと同じようなやつが、仕様に合わせて入っている。
ちなみにうちのキュービクルには、こういうトランスが5個も入っていて、壮観です。
さて、上記写真でもわかるように、キュービクルの中身は、スカスカですが、もう、至る処、絶縁体が山盛りです。ですから、むやみに扉を開けて、中に入ることはできません。
勘違いしがちなんですが、電気は電線の中を走っているという風に見えますが(見えませんが)絶縁体でこれでもか、これでもかと「閉じ込め」ておかないと、勝手にアークして暴れまわるピカチュウの10万ボルトの「放電」シーンになります。
はい、ですから、もう設置されている部品は、もう、全部、断路器、高圧負荷開閉器、高圧カットアウト、変圧器、変流器、真空遮断器、過電流継電器、コンデンサなど、あとたくさんの碍子のように、頑張っている感いっぱいの部品だらけです。
ちなみに毎日、漏電、温度はチェックしていますし、毎月点検していますし、毎年、車検のように完全点検がありますし、大事なので2回言いますが、
「吹っ飛ばしたら、所有者の責任」です。
「吹っ飛ばして、停電させたら、責任は所有者」です。
いくら保安協会で点検管理していても、メーカーが何年保証していても、吹っ飛ばしたら、自社ビルだけで済む話ではありません。
川が「決壊」したと同じ話で、ダダ洩れになれば、圧力が低下して、川下に流れがいくか?という話で、一帯が大停電になってしまうわけです。
もちろん、電力会社もそうならないように、街の電気配給を、色々な回路に見立てて、一気に全体に影響が波及しないようにしていて、これは本当に見事としかいえないんだけど、あの大震災の際、計画停電をご記憶のことと思いますが、
そうです、細かい配給ができるんです。この国は。
で、問題は、そうは言っても、このキュービクル。各部品にはそれぞれ「推奨交換時期」というのがあって、15年とか20年とかあるんですが、うちも、13年目で、いきなり年次チェックのさい、絶縁レベルが100メガオーム切ってしまい、大至急の交換を余儀なくされたんですが、
やんないオーナー 多すぎ。
そこで電力会社は考えたわけです。まじやばい。停電してもやったオーナーに賠償体力なかったら、電力会社の不法行為も問われかねない。そこで平成7年には「自主保安」という義務が制定されたんだけどね、
さらに電力会社がその建物に電気を引き込む設備。通称「キャビネット」といわれる接続設備の中に、UGSなる高圧ガス開閉器をつけさせて、
もし、そのビルのキュービクルが暴走したり、爆発しても、近隣に波及させないように、一気に回路を遮断してしまう。
電気設備更新の目安 | 保安管理業務 | サービス内容 | 関東電気保安協会
とくに、ちょっと大きめで建物の1Fに
こういうものがあったら、そのビルは変圧設備をもっています。
だからどうだっていう話ではないんですし、見て、ちゃんとやっているかどうかなんてわかりません。ただ、なんだかわからないタイミングで、辺り一帯停電した場合、大概は古いキュービクルを吹っ飛ばしたビルがある。多分ね。でも、電力会社は、よほどのケースでない限り、何も教えてくれません。
今回の代々木のケースは、間違いなく吹っ飛ばしだと思います。それもUGS、自己負担ですが、つけていないオーナーのビルがやらかしましたね。